Politics & Global Strategy
「トランプの野望」か「世紀の投資」か?
グリーンランド買収に火をつけた
“影の6人衆”とその正体
なぜトランプは「不動産王」の直感で、氷の島を欲しがったのか?
「これは不動産取引だ。我々はデンマークからグリーンランドを買いたい。」
2019年、当時のドナルド・トランプ大統領が発したこの言葉は、世界中に衝撃と、そして一部の失笑を呼びました。しかし、トランプ氏は決してジョークで言っていたわけではありません。彼は本気でした。
なぜ、アメリカ大統領が北極圏に浮かぶ「氷の島」にこれほどまで執着するのか? その背景には、トランプ氏を突き動かした富豪たちと、中国の進出を極度に恐れる強硬派(タカ派)による、緻密な戦略がありました。
【図解】グリーンランドが「黄金の島」に見える3つの理由
1. 地政学的「要衝」
北極圏の覇権争いにおいて、ロシアと中国を牽制するアメリカの「不沈空母」となる。
2. 莫大な資源
ハイテク産業に不可欠な「レアアース」や石油・ガスが大量に埋蔵されている。
3. 中国の排除
中国の「氷上のシルクロード」構想を阻止し、北極進出の足場を奪う。
GREENLAND
トランプを本気にさせた「6人衆」
この「荒唐無稽」とも思われた買収案をトランプ氏の耳に入れ、具体的戦略として練り上げたのが、以下の6名のキーマンたちです。彼らはビジネス、軍事、政治の各分野から、グリーンランドがいかに「アメリカにとっての利益」になるかを説きました。
1. トム・コットン
上院議員(タカ派)
買収案の真の立案者の一人。軍事委員会に所属し、「中国のレアアース独占を打破するにはグリーンランドが必要だ」とトランプに直接進言した。
2. ロバート・オブライエン
国家安全保障補佐官
国家安全保障の観点からグリーンランドの重要性を整理。デンマークとの交渉ルートを探り、水面下で可能性を打診した実務派。
3. ウッディ・ジョンソン
富豪・元駐英大使
トランプの長年の友人。ビジネスマンとしての視点から「北極圏の不動産価値」をトランプに説き、投資としての魅力を強調した。
4. マイク・ポンペオ
元国務長官
「北極は新たな覇権争いの舞台だ」と公言。中国の進出を「氷上のシルクロード」と呼び、激しく批判して買収の正当性を主張した。
5. ロナルド・ラウダー
エスティローダー会長・富豪
ユダヤ系ロビーとの繋がりも深い富豪。トランプの背後で資金面や人脈面での戦略的なアドバイスを送っていたとされる。
6. デービッド・バーンハード
元内務長官
資源開発のプロフェッショナル。グリーンランドの地質調査データを元に、どれだけの利益が眠っているかを試算した。
中国という「見えない敵」
なぜ、これほどまでの顔ぶれがグリーンランドにこだわったのか。その答えは、大西洋の向こう側ではなく、遠くアジアの「中国」にあります。
中国は近年、グリーンランドでの空港建設やレアアース採掘への投資を急速に進めていました。もし、デンマークが財政難から中国にこれらの利権を譲り渡せば、アメリカの目と鼻の先に「中国の軍事拠点」ができることになります。トランプ氏周辺の反中派にとって、これは悪夢以外の何物でもありませんでした。
💡 ここがポイント
トランプ氏にとってグリーンランドは単なる「島」ではなく、中国の拡張主義を食い止めるための「防波堤」だったのです。
「買収」は終わっていない?
デンマーク政府は「グリーンランドは売り物ではない」と一蹴しました。しかし、トランプ氏が再び政権の座に近づくにつれ、この話題は再燃しています。
実際に、アメリカは現在もグリーンランドへの経済支援を強化しており、領事館を再設置するなど、着々と影響力を強めています。形は「買収」ではなくても、実質的な「アメリカの影響下への取り込み」は加速しているのです。
まとめ:世界は再び「北」を向く
トランプ氏を突き動かした6人の助言者たちは、単なる富豪や政治家ではなく、次世代の地政学的覇権を見据えた「戦略家」たちでした。レアアース、北極航路、そして対中国戦略。グリーンランドを巡るドラマは、これからの世界秩序を占う重要な試金石となるでしょう。
「歴史は、かつてアメリカがアラスカをロシアから買った時と同じように繰り返されるのか。それとも、新たな火種となるのか。」



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