日本版「株式トークン」始動へ——24時間・1円単位で取引、2026年中にも 最新動向
「夜中の2時に日経主力を1円から買える」——。そんな未来が、いよいよ現実になります。大手証券・信託・取引インフラが連携し、上場株をブロックチェーン上の株式トークン(トークン化株式)として24時間・1円単位で売買可能にする構想が本格化。2026年中の実装を目指すロードマップが示されました。本記事では「何が変わるの? どう使う? 何に注意?」をプロ視点でわかりやすく解説します。
1. 何が“始まる”のか:日本版「株式トークン」の要点
① 常時開場に近い取引
ブロックチェーンを用いたデジタル証券として、株式を24時間365日売買可能に。取引時間制約が事実上なくなります。
② 最低投資額は「1円」
株式を細かく分割した“権利のデジタル単位”で保有でき、1円単位からの超少額投資が可能に。
③ 既存インフラと連携
証券会社・信託銀行・私設取引システム(PTS)などが参加。既存の株価や権利関係と整合させて設計されます。
④ 開始時期の目安
2026年中の実装目標。2026年春に制度・商品設計の中間成果がまとまる見込みです。
2. 仕組みを3ステップで理解する
Step 1:株式を“デジタル権利”に変換
信託銀行等が企業の発行株式を裏付けに、ブロックチェーン上で移転・保有できるデジタル証券(セキュリティトークン)を発行。これが「株式トークン」です。
Step 2:1円単位の小口化
トークンは極小単位に分割され、投資家は1円から保有可能。端株以上に柔軟で、積立や端数リバランスが容易になります。
Step 3:24時間取引&即時決済に接続
従来の立会時間外でも売買可能に。将来的にはステーブルコイン等と組み合わせたオンチェーン即時決済(DVP)も視野に入ります。
3. 個人投資家にとっての5つのメリット
- 時間の制約が消える:出張中や深夜でも、イベントに合わせて即時にヘッジ・積増しが可能。
- 超少額から分散:主力株・高価格株も1円単位で幅広く分散、ドルコストを高度化。
- 配当・優待の設計余地:トークン保有者向けに、企業がデジタル会員権的な施策を設計できる可能性(ファン株主化)。
- 速い入出金(将来):オンチェーン決済の普及で、入出金や移管の待ち時間が短縮される期待。
- 透明性の向上:ブロックチェーンによる権利移転の追跡性で、保全・照合の高度化。
4. ここは要注意:制度・リスク・コスト
制度整備は“進行形”
券面交付などアナログ規定への対応、PTS/既存市場との関係整理、投信・信託スキームの法律論点など、段階的に解決されます。
価格乖離リスク
上場市場の“現物”と、トークン市場の価格に短期的な乖離が生じ得ます(裁定で収れんする設計が想定)。
手数料・スプレッド
超少額・24時間の利便性の裏側で、手数料やスプレッドの水準を要確認。使う口座の総コストで比較を。
税制の取り扱い
配当・譲渡益課税は原則として従来株式と同様の想定。詳細は正式アナウンスと証券会社の交付書面を必ず確認。
5. いつから? ロードマップの見方
- 2025年11月:業界横断ワーキンググループがキックオフ。
- 2026年3月:制度・商品設計の報告書と「トークン化法(素案)」公表の目標。
- 2026年春〜年内:実証→段階的実装(銘柄・時間帯・参加者を限定して始まる可能性)。
6. 投資家タイプ別:最初の“勝ち筋”
長期積立派
- 主力株を「1円×高頻度」で自動積立。
- 配当月・決算イベント前後のミニ調整で効率化。
- 為替・金利局面に応じた夜間リバランス。
テーマ分散派
- 半導体・再エネ・観光など、テーマ別に薄く広く。
- 「推し企業の優待・IR連動」に備え、コミュニティ参加も。
短期イベント派
- 米雇用統計/決算/地政学など深夜イベントでヘッジ建て。
- 価格乖離は“味方にも敵にも”なる。ルール化を。
7. はじめる前の準備チェックリスト
- 対応口座の選定とKYC:証券/信託/ウォレット連携の導線を確認。
- 手数料とスプレッド:少額高頻度なら総コストを重視。
- 自動化レシピ:積立頻度・買付上限・逆指値などのマイルールを事前に定義。
- 税務メモ:配当・源泉徴収・譲渡損益通算の扱いを整理。
- リスク許容度:夜間ボラ・価格乖離・通信障害時の行動方針を明文化。
8. よくある疑問Q&A
Q1. 本当に1円から買える?
A. 設計上は可能ですが、取扱銘柄・時間帯・最小単位は段階導入が想定されます。開始アナウンスで必ずご確認を。
Q2. 価格は現物株と同じに動く?
A. 基本は連動設計。ただし流動性や取引時間の違いから、短期乖離が発生し得ます。裁定や公式価格提示の仕組みで収れんが期待されます。
Q3. セキュリティは?
A. 金商法等の規制枠組み下で、信託・証券のプロセスとブロックチェーンの技術を二重化。口座側の本人認証と鍵管理が最重要です。
まとめ & 行動喚起
「24時間・1円単位」の日本版株式トークンは、投資の当たり前を塗り替える可能性大。とはいえ、制度・手数料・流動性は立ち上げ期特有の“揺らぎ”が避けられません。
まずは対応口座の準備、手数料と自動化の設計、夜間ボラへの備えから始めましょう。この記事が役立ったら、SNSでシェア&コメントで疑問を投げてください。関連リンクも下にまとめました。最新アップデートと使いこなし術を継続発信していきます。
参考リンク(公式・一次情報・有力解説)
- CoinDesk JAPAN「株式を24時間、1円単位でオンチェーンで売買へ」(2025/11/4)
- BeInCrypto Japan「日本の大手金融機関が2026年の24時間トークン化株式取引を準備」(2025/11/4)
- Progmat「デジタルアセット共創コンソーシアム」WG報告書一覧
- オンチェーン完結型STWG報告書(SpeakerDeck版)
- SBI FERI「国内セキュリティトークンの制度整理・最新事情」(2024/7/25)
※本文中の説明は公開情報と業界資料に基づく執筆時点の整理です。最終的な商品仕様・対象銘柄・手数料・税務は、各社の正式発表・交付書面を必ずご確認ください。


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