導入：静かに“本気”を見せ始めたユナイテッド航空

「ANAやJALばかり注目していませんか？」——そう問いかけたくなるほど、北米の航空大手ユナイテッド航空（United Airlines）は、2025年に入り明らかな戦略転換と進化を遂げつつあります。
サステナビリティから機材刷新、空港体験、乗務員の働き方改革まで。その一手一手に“未来の航空業界”を生き抜く覚悟がにじむのです。
本記事では、航空関係者が知っておくべきユナイテッド航空の最新トレンドと、それが意味する業界の変化を掘り下げます。

1. サステナブル航空のリーダーへ：持続可能な燃料とネットゼロ戦略

2025年現在、ユナイテッド航空は業界内で最も積極的にSAF（持続可能な航空燃料）へのシフトを進めているエアラインの一つです。
すでに自社便の一部にSAFを導入し、2035年までにカーボンニュートラルを実現するビジョンを掲げています。

注目の取り組み：
・次世代燃料スタートアップへの投資（例：ZeroAvia、Fulcrum BioEnergy）
・シカゴ本社での電動地上車両の導入
・「Eco-Skies Alliance」プログラムによる法人顧客との協業

2. 新機材戦略：「737 MAXとA321XLRの二刀流」で短中距離を制す

機材戦略においても、ユナイテッド航空は大きく舵を切りました。2024年から受領が本格化したボーイング737 MAXシリーズに加え、エアバスA321XLRの導入も決定。
北米市場における幹線と地方都市を効率よく結ぶ柔軟なフリート構成を構築中です。

最新データ（2025年3月時点）：
・737 MAX機：120機以上が運用中、さらに180機発注済み
・A321XLR：納入開始に向けたクルー訓練が進行中（2025年中旬以降の就航見込み）
・退役予定：古い757-200型を順次置き換え

3. 顧客体験の革新：「United NEXT」構想とは？

「飛行機に乗る体験を、もう一度ワクワクさせる」——そんな想いから始まったのがUnited NEXTプロジェクト。
機内Wi-Fiの高速化、全席USB-Cポートの設置、リアルタイムな座席予約管理など、テクノロジーを駆使したCX（顧客体験）向上に注力しています。

乗客満足度調査（2025年1月）：
・Wi-Fi満足度：前年比+15%（アメリカン航空を上回る）
・プレミアムキャビンの搭乗率：前年同期比+9%

4. 働き方の見直し：「クルーが誇れるエアライン」への挑戦

ユナイテッド航空の“本気”は、従業員向けの改革にも表れています。2025年の労使交渉では、客室乗務員の勤務体系を柔軟化し、ライフスタイルに合わせたスケジュール制度を導入。
同時にパイロットには最新シミュレーターを備えた研修センターへの投資が発表されました。

現場の声：
「正直、3年前のユナイテッドからは想像できなかった。今は胸を張って“誇れる会社”だと言える」（現役FA）
「シフトの柔軟性が格段に上がった。子育てとの両立もしやすい」（パートタイム勤務のCA）

まとめ：なぜ今、ユナイテッド航空から目を離せないのか

サステナビリティ、機材戦略、顧客体験、そして働き方改革。これらすべてに本気で取り組むユナイテッド航空の姿勢は、「空を飛ぶ会社」の定義を再構築しようとしているかのようです。
今後、日本を含むアジア市場への展開にも注目が集まる中、航空関係者としてこの動きを見過ごすわけにはいきません。

航空業界の未来を先取りするヒントは、いつだって“挑戦者”の中にある。
そして、2025年のユナイテッド航空は、まさにその挑戦者なのです。