新築マンションの修繕積立金が史上最高額に – 過去最高を更新した背景と既存物件の融資依存
マンション購入時は物件価格だけでなく、毎月の管理費や修繕積立金も重要です。2023年に販売された新築マンションでは首都圏の修繕積立金が平均8,729円(70㎡換算)と過去最高を更新し、管理費と合わせたランニングコストは29,087円に達しました。これらの数字は東京カンテイの調査によるものです。
1. なぜ新築の修繕積立金が過去最高なのか
物価高と人手不足で工事費が急騰し、修繕工事費は10年前の約1.5倍、資材単価は20%近い値上がりとなりました。その結果、管理組合は従来の3〜4倍の積立額を求められるケースもあります。新築時の設定が低すぎると、築10〜15年の最初の大規模修繕に対応できず、急な値上げや一時金徴収に直面します。詳しくは専門家の解説が参考になります。
国土交通省の調査では、駐車場収入を除く全国平均の月あたり修繕積立金は13,054円です。にもかかわらず、積立が計画額より不足している管理組合は3割以上あり、均等積立方式は約4割に過ぎません。長期修繕計画期間が25年以上の組合も6割程度にとどまり、多くが段階増額方式で初期負担を抑えているため将来の負担が重くなることが分かります。詳しくは国土交通省の調査を参照してください。
2. 三大都市圏のランニングコスト比較
エリア | 修繕積立金 (円/月・70㎡) |
管理費 (円/月・70㎡) |
合計 |
---|---|---|---|
首都圏 | 8,729 | 20,358 | 29,087 |
近畿圏 | 7,311 | 13,167 | 20,478 |
中部圏 | 7,287 | 11,406 | 18,693 |
首都圏のランニングコストは他地域を大きく上回り、価格高騰に連動して上昇しています。
3. 既存物件は融資への依存が拡大
修繕積立金だけでは足りない管理組合は、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」に頼っています。2023年の融資受理件数は513件と過去最多で、多くが築13〜16年の初めての大規模修繕時に資金不足に陥った事例です。詳しくは専門家のブログを参照してください。
下表は大規模修繕工事に対する融資の平均的な利用割合です。工事費の約半分を借入で賄う実態が読み取れます。資料の詳細は住宅金融支援機構の資料で確認できます。
戸数区分 | 工事費 (万円/戸) |
融資額 (万円/戸) |
融資割合 |
---|---|---|---|
20戸以下 | 169.7 | 80.9 | 52.26% |
21~40戸 | 142.3 | 65.2 | 49.83% |
41~60戸 | 131.8 | 56.8 | 48.02% |
61~80戸 | 129.5 | 59.4 | 47.92% |
81~100戸 | 131.6 | 58.9 | 45.13% |
101戸以上 | 115.6 | 44.9 | 49.24% |
借入は助けになりますが、返済は修繕積立金から行われるため、借入額が多いほど月々の負担は増えます。
4. 賢いマンション選びと管理のポイント
- 長期修繕計画を確認:30年以上の計画で積立金が適正に設定されているかチェックしましょう。
- 積立方式を把握:均等積立か段階増額かで将来の負担が変わります。
- 財務状況の開示:積立金の残高や不足額、借入の有無を確認します。
- 専門家の活用:建築士や管理士による診断で工事費や積立金の妥当性を判断します。
まとめと行動喚起
修繕積立金が過去最高となった背景には、工事費の高騰や新築時の低設定、長期修繕計画の不備があります。既存物件でも資金不足が問題となり、工事費の半分近くを借入で賄う例が増えています。マンションを選ぶ際は修繕積立金や長期修繕計画を必ず確認し、将来の負担を見極めましょう。
既に居住している方は管理組合の財務状況を定期的にチェックし、必要に応じて専門家とともに計画を見直すことが大切です。この記事が役に立った方は、コメントやSNSで共有してみてください。
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