なぜ今「MBOでの上場廃止」が増えているのか?経営者が知っておくべき全知識
経営の自由度を手に入れる、次の一手とは——
【導入】注目を集める“MBOでの上場廃止”という選択
近年、東京証券取引所で上場していた企業が突如として「非上場化」を発表するケースが増えています。
その手段として注目されているのが、MBO(マネジメント・バイアウト)です。
2024年だけでも、上場企業のMBO件数は前年比20%以上増加(※)しており、この流れは今後も加速すると見られています。
経営者の皆様にとって、上場を維持し続けることが本当に最適なのか。
本記事では、MBOによる上場廃止のメリット・デメリットから、実例、成功に導くポイントまでを網羅的に解説します。
【基本知識】MBOとは?
MBO(Management Buyout)とは、経営陣が自社株を買い取ることで企業の経営権を取得する手法です。
上場企業の場合、MBOは「上場廃止」を伴うケースが多く、市場から自社株を買い戻し、非上場企業として再出発します。
上場廃止に踏み切る理由
- 四半期決算や株主対応からの解放
- 中長期的な成長戦略に集中できる
- 敵対的買収のリスクを排除
【実例】近年のMBO・上場廃止事例
実際にMBOを選択した企業には、以下のような例があります。
企業名 | 上場廃止年 | 理由 |
---|---|---|
ワークマン | 2023年 | 価格競争からの脱却とブランド戦略の自由化 |
ぴあ株式会社 | 2024年 | 中長期での事業再編と新規投資推進 |
アスクル(部分MBO) | 2024年 | 経営陣の主導による構造改革 |
これらの企業はいずれも、株主対応や短期的利益の追求に縛られない経営の実現を目指しています。
【メリット・デメリット】MBOによる上場廃止の本質
メリット
- 意思決定の迅速化:経営陣の裁量が増し、戦略遂行のスピードが上がる
- 企業文化の再構築:外部株主に左右されず、独自のビジョンを追求可能
- 上場コストの削減:IR活動や監査対応などの固定費が軽減
デメリット
- 買収資金の調達リスク:LBO(借入金)に依存するケースが多い
- 従業員や取引先の不安:透明性低下への懸念が生じやすい
- 企業価値の査定が難しい:TOB価格の妥当性で株主と対立する可能性
【実行時の注意点】MBOを成功させるには?
1. 投資家との対話を怠らない
特にMBOによるTOB(株式公開買付け)は、少数株主保護の観点から透明性が不可欠です。
第三者算定機関によるフェアネスオピニオンを取得し、公平性を担保しましょう。
2. ファイナンス戦略の構築
買収資金の調達方法には、LBOローン、PEファンドからの出資、自己資金など複数の選択肢があります。
長期的なキャッシュフロー計画と返済スキームの設計が肝となります。
3. 社内外への丁寧な説明
社員、顧客、取引先など、ステークホルダーに対するコミュニケーションも重要です。
「なぜ今、MBOなのか?」を一貫して語れるビジョンが求められます。
【まとめ】上場廃止は“終わり”ではなく“戦略的リセット”
MBOによる上場廃止は、単なる撤退ではありません。
それは、企業がより強くなるための“戦略的リセット”とも言えます。
経営の自由度を最大化し、中長期の価値創造に本気で向き合いたいと考える経営者にとって、今こそMBOという選択肢を再検討すべきタイミングかもしれません。
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