なぜ「メキシコ産コーラ」が米国で政治的象徴に？RFKジュニアも注目する『砂糖 vs コーンシロップ』の仁義なき戦い

こんにちは！トレンドニュースを深掘りするブログライターです。今回は、一見美味しそうな「コーラ」の話題から、アメリカの最新政治情勢と健康トレンドの裏側を紐解いていきます。

1. なぜ今、「メキシコ産コーラ」がブームなのか？

「本物の砂糖」がもたらす味とノスタルジー

アメリカ国内で流通している通常のコカ・コーラと、メキシコから輸入されるコカ・コーラには、決定的な違いが一つあります。それは甘味料の種類です。

• 米国産コーラ：高果糖コーンシロップ（HFCS / 異性化糖）を使用
• メキシコ産コーラ：サトウキビ由来の「純粋な砂糖（Cane Sugar）」を使用

多くの愛好家は、メキシコ産コーラの方が「味がクリアで、後味がすっきりしている」「昔懐かしい本来のコーラの味がする」と絶賛します。ガラス瓶で提供されるスタイルも相まって、ちょっとした高級品として、あるいは健康意識の高い層への「自分へのご褒美」として定着してきました。

コーンシロップ大国アメリカの事情

では、なぜ本家アメリカのコーラは砂糖を使わないのでしょうか？これには長い歴史があります。アメリカは世界最大のトウモロコシ生産国であり、政府からの多額の補助金によってコーンシロップが非常に安価に製造できる構造になっています。

一方で、砂糖の輸入には高い関税や厳しい割当制度が存在するため、コスト削減を至上命題とする飲料メーカーにとって、コーンシロップへの切り替えは必然の選択でした。これが、米国産とメキシコ産の「味の分断」を生んだ背景です。

2. RFKジュニア氏と「MAHA」運動の台頭

「アメリカを再び健康に（MAHA）」のスローガン

ここで登場するのが、ロバート・F・ケネディ・ジュニア（RFK Jr.）氏です。次期トランプ政権において厚生長官への起用が指名された彼は、選挙戦のスローガンをもじった「MAHA（Make America Healthy Again）」運動を提唱しています。

この運動の主なターゲットの一つが、加工食品に含まれる過剰な添加物や化学物質、そして他でもない「高果糖コーンシロップ」です。

敵の敵は味方？甘い炭酸飲料のパラドックス

RFKジュニア氏やMAHA支持者たちは、肥満や糖尿病の蔓延の原因としてコーンシロップを厳しく批判しています。その文脈において、コーンシロップではなく「自然な砂糖」を使っているメキシコ産コーラは、皮肉にも「（まだマシな）より良い選択肢」として持ち上げられる現象が起きています。

本来、健康運動家であれば「炭酸飲料そのものをやめよう」と主張するのが定石です。しかし、反コーンシロップの象徴として、甘いソーダであるはずのメキシコ産コーラが、ある種の「聖杯」のように扱われるという、非常に興味深いねじれ現象が発生しているのです。

3. 迫りくる「関税」の壁と政治的ジレンマ

トランプ次期大統領の関税爆弾

しかし、この「メキシコ産コーラ礼賛」の風潮に冷や水を浴びせかねないのが、トランプ次期大統領が掲げる強力な関税政策です。トランプ氏は、不法移民や薬物対策を理由に、メキシコからの輸入品に対して25%の関税を課すと脅しをかけています。

もしこれが現実に発動されれば、メキシコ産コーラの価格は高騰します。

• MAHA派（RFK Jr.側）：国民にコーンシロップではなく、より自然な食品を摂ってほしい（メキシコ産コーラ肯定）。
• 通商政策（トランプ側）：メキシコ製品を締め出し、国内産業を守りたい（メキシコ産コーラ否定）。

このように、同じ政権内・支持層の中で「健康政策」と「通商政策」が真っ向から衝突する象徴となってしまったのが、このガラス瓶のコーラなのです。

4. 私たちの生活への影響と今後の見通し

日本市場への示唆

「遠い国の話」と思うなかれ。日本で販売されているコカ・コーラは、実は原材料表示を見ると「糖類（果糖ぶどう糖液糖、砂糖）」となっているものが多く、コーンシロップと砂糖の混合、あるいはコーンシロップ主体であることが一般的です。

アメリカで起きている「原材料への回帰」や「加工食品への不信感」というトレンドは、遅れて日本にも波及する可能性があります。実際、クラフトコーラ・ブームなどはその先駆けと言えるでしょう。

食の選択が政治を変える？

今回のニュースは、たった一本のコーラが、国の農業政策（トウモロコシ補助金）、通商政策（関税）、そして公衆衛生政策（肥満対策）のすべてを映し出す鏡であることを教えてくれます。

RFKジュニア氏が厚生長官に就任した場合、アメリカの食品表示や添加物規制が劇的に変わる可能性があります。コーンシロップ業界VS健康推進派のロビー活動合戦は、今後さらに激化するでしょう。