「世紀の空売り」バーリ氏、ブロガーに転身 —— 今度は“AIバブル”に警鐘
「リーマンショックを予言した伝説の投資家が、ついにブログを始めた」。
この一文だけでも、金融ニュースを追う人なら胸がざわつくはずだ。
映画『マネー・ショート』で描かれ、“世紀の空売り”で知られるマイケル・バーリ氏。
そんな彼が突如としてブロガーに転身し、最初のテーマに選んだのが——「AIバブル」だ。
本記事では、バーリ氏の主張、歴史的背景、そして投資家が学ぶべき教訓を、最新の視点からわかりやすく解説する。
■ マイケル・バーリとは何者か？
● “逆張りの天才”としての歩み
バーリ氏は、2000年代前半に住宅ローン証券の危うさを見抜き、史上最大級の空売りで巨額の利益を上げた人物だ。
当時、ほぼすべてのウォール街関係者が「住宅市場は盤石」と信じていた中で、ただ一人警鐘を鳴らした。
その慧眼は映画化され、彼の名前は投資の象徴として世界に広がった。
● バーリ氏は“予言者”ではなく“分析者”
多くの人が誤解しがちだが、バーリ氏は運だけで勝ったわけではない。
医師としてのバックグラウンドから生まれた緻密なデータ分析と、徹底したリスク管理が武器だ。
つまり彼は、過熱した市場の「ほころび」を冷静に拾う専門家なのである。
■ ブロガーとして発信開始 —— なぜ今、ブログなのか？
● SNSではなく「ブログ」を選んだ理由
金融界の大物がX（旧Twitter）ではなくブログを選んだ理由は興味深い。
ブログは長文で分析を残せるため、自分の主張を誤解なく伝えられるというメリットがある。
細かい数字や論理を追うバーリ氏にとって、最も相性の良いメディアなのだろう。
● 初回テーマは「AIバブル」
彼がブログで最初に取り上げたのが「AIバブル」。
つまり、現在の市場が“期待先行の狂騒状態”にあるという示唆だ。
AI銘柄は急騰し、世界の設備投資の中心もAI向け半導体やデータセンターへシフトしている。
だがバーリ氏は、そこに2007年の住宅市場と同じ匂いを感じている。
■ バーリ氏が指摘する「AIバブル」の3つの兆候
① 収益よりも“ストーリー”が株価を押し上げている
AI関連株の中には、実態収益が追いついていない企業も多い。
「AIを使っている」「AIで世界が変わる」——この“ストーリー”が株価を押し上げているとバーリ氏は指摘する。
② 過去のITバブルと酷似する市場心理
99年〜00年のITバブル期、投資家の多くが具体的な収益モデルよりも「未来への期待」で投資をした。
バーリ氏は、現在のAI市場でも同じ期待先行の熱狂が起きていると語る。
③ インフラ投資の過熱——特にデータセンター
AI開発には膨大な計算資源が必要で、世界中でデータセンター投資が爆発的に増えている。
だが、すべての投資が回収可能とは限らず、需給バランスが崩れれば一気に冷え込む可能性がある。
■ 過去のバーリ発言と“今回の警告”の共通点
● いつも「熱狂の裏側」に注目
住宅市場も、ITバブルも、そして今回のAIバブルも、バーリ氏の注目ポイントは共通している。
- みんなが儲かると言っている
- 投資資金が集中している
- データ上、持続性が説明できない領域がある
彼は常に「過度な期待と現実のズレ」を探すのだ。
● 今回の警告は“AIそのもの”ではない
バーリ氏はAI技術を否定しているわけではない。
彼が警告しているのは、AIを取り巻く投資の加熱と市場心理である。
つまり本質は、
「正しい技術が、間違った期待でバブル化する可能性」
だということだ。
■ 投資家はどう備えるべきか？ —— バーリ流リスク管理のヒント
① “AI関連だから買う”という思考を捨てる
大切なのは、企業の収益力、キャッシュフロー、競争優位性といった実態を見極めることだ。
② 「超成長産業こそリスクが大きい」と知る
成長産業は裏側のサプライチェーンまで複雑化し、落ちる時は一気に落ちる。
分散投資やヘッジ戦略も視野に入れるべきだ。
③ バブル崩壊は“ゆっくり来て、突然落ちる”
バーリ氏の警告がいつ的中するかは誰にもわからない。
ただ、過去の金融危機は全て、こうした警告が出た後に訪れている。
■ まとめ —— バーリ氏の警告は“恐れるべき未来”ではなく“備えるための材料”
バーリ氏の発信は、恐怖を煽るためのものではない。
むしろ、熱狂に流されず冷静に市場を読むための材料だ。
AIバブルの可能性を知ったうえで、どう投資するか。
その判断こそが、これからの投資家に最も求められる姿勢なのだろう。
この記事が少しでもあなたの視点を広げる助けになれば幸いだ。
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